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2019.11.08
SAP ERPの2025年問題について
SAP社の提供するERPサービスには「2025年問題」と呼ばれる問題が兼ねてから指摘されており、この問題をどのように解決するのかSAPユーザーは対応に迫られています。
今回はこの「2025年問題」の解説とその対応方法についてご紹介します。
SAP ERPの2025年問題とは何か?
SAP ERPの2025年問題とは、「SAP ERP」及び「SAP Business Suite」の保守サポートが2025年に終了することで、これらのサービスを利用する企業は後継となる「S/4HANA」へ切替を行わなければなりません。
しかし、「SAP ERP」と「S/4HANA」では機能や動作基盤が異なっており、システムの規模も大きなことから対応には大きな時間とコストがかかってしまうと考えられています。
2025年に保守サポートが終了となる対象サービスは下記の通りです。
・SAP Business Suite 7 コアアプリケーションリリース
・SAP ERP 6.0
・SAP Customer Relationship Management 7.0
・SAP Supply Chain Management 7.0
・SAP Supplier Relationship Management 7.0
・SAP Business Suite powered by SAP HANA 2013
SAP ERP の2025年問題の対応方法
このSAP ERP 2025年問題の対応方法としては「S/4HANAに移行する」「SAP以外のERPに移行する」「そのまま使い続ける」の3つがあります。
S/4HANAに移行する
SAP ERPをS/4HANAに移行することで、終了する保守サポート対象のサービスの利用を止めます。注意点ですが、S/4HANAはアーキテクチャが従来のSAP製品とは異なるため移行には大きなコストがかかります。
SAP社の製品を引き続き利用することになるので移行が簡単だと思われがちですが、この点は認識しておきましょう。なおSAPを導入している多くの企業がこの「SAP S/4HANAに移行する」選択をしているようです。
SAP 以外のERPに移行する
SAP以外のERPに移行することで保守サポートの終了対象サービスの利用を止めます。なにもERPはSAP社のERPを使い続ける必要はなく、SAP社以外のERPであっても自社の利用目的に合ったシステムがあるのであれば、この2025年問題を機会に他社ERPへ移行するのも良いでしょう。
そのまま使い続ける
どこにも移行せずにそのまま使い続けることも可能です。SAP ERPの2025年問題は、2025年に保守サポートが終了となるだけであり、サービスそのものは使い続けることができます。
ここでいう保守サポートの終了は、「メインストリームサポート」のことで2025年以降は「延長サポート」に切り替わります。
これにより新しい機能やシステムの改善はされなくなりますが、セキュリティプログラムの更新は引き続き継続されます。そのため、従来のシステムでも十分利用目的を満たせるのであればそのまま継続して利用するという選択も間違いではありません。
実はもう1つ存在する2025年問題
SAP ERPの移行を行わなければならない2025年問題には、新しいアーキテクチャへの抜本的な移行作業という技術的な問題の他に「移行作業を行う人材の確保」というもう1つの問題が存在します。
経済産業省によれば、日本では2030年までに60万人のIT人材不足に直面するという予測がされており、2025年に向けてS/4HANAへの移行を検討するであろう2000社超のSAP ERPユーザー企業が、SAPコンサルタントの不足によってスケジュール通りに移行を進められない可能性が指摘されているのです。
SAP ERPについての高度な知識やスキルを持った人材の確保と育成がこれからより重要さを増していくのはまず間違いないと言えるでしょう。
終わりに
SAP ERPの保守サポートの「メインストリームサポート」が終了することにより、SAP ERPの導入企業にとっては新たな判断が迫られることになります。
紹介した通りの3つの選択肢がありますが、改めて利用しているERPに対する評価を行う良い機会になるでしょう。AIや機械学習の利用に伴うリアルタイム処理をERPに求めるのであれば、インメモリデータベースのS/4HANAへ移行する判断も必要になってきます。
2025年以降にはSAP ERPの利用状況が各々の会社によって分かれるため、2025年問題への対応はその後の明暗を分ける大きなターニングポイントかもしれません。
SAPについてのトレーニングの実施など、気になる点等があればいつでもお気軽にご相談ください。
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